サブプライムローン 2008-09-17 12:24

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 サブプライムローン

サブプライムローン(subprime lending)とは、主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち、優良顧客(プライム層)向けでないものをいう。報道機関ではしばしば低所得者向けローンとの説明がされ、低所得者に多額の貸し付けを行ったというニュアンスで取り上げられるが、厳密には通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローンである。信用力の評価基準に所得が多いか少ないかは含まれていない。狭義には、住宅担保とする住宅ローンに限定され、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。一般的に他のローンと比べて信頼度が低い。

2007年夏頃から、主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)返済の延滞率が上昇し、住宅バブルがはじけ、これを組み入れた金融商品の劣化をきっかけとした金融不安に関わる問題が起きている。

概要

サブプライムモーゲージ(subprime mortgage)ともいい、通常は住宅ローン担保証券(RMBSもしくはMBS)の形で証券化され、さらにそれらが債務担保証券(CDO)の形に再証券化されて、金融商品として投資家に販売される。RMBSやCDOは格付け機関により格付けされており、市場で取引される。つまり、不動産のローンによる売買そのものを証券化し、金融機関や投資家の間で取引されたことになる。このことによって、ローン契約した債務者の支払は銀行から金融機関や投資家へ移ることになる。

住宅ローンの実施にあたっては、債務者の信用力を数値化したFICO[1]信用点数[2]が用いられる。十分な信用力を有している債務者に対しては、プライムローンとして扱われる。ここで所定の基準を満たさない債務者に対する貸付を行う場合を総称し、プライムローンに対して、サブプライム(sub-下に prime-優れた→信用度の低い)ローンと呼ぶ。債務者の所得水準が低い場合が典型的であるが、所得は高いもののクレジットカードやローンの利用実績がない場合もこれに該当し、また、信用力を超えた借入を行って不動産投資を行う場合などにも、同様にサブプライムローンが利用されている。

一般的な特徴としては、貸付利率が通常の住宅ローンに比べて高くなり、貸付者が取る信用リスクも高くなる。このため、債務者が弁済を容易とするための特別なアレンジや、貸付を行う側としては、貸付リスクの分散が通常の住宅ローンよりも重視されることとなる。ただ、債務者の支払能力が不能になる可能性は十分にあるため債務者の所有する不動産の価値に重点が置かれる。

サブプライムローンの貸付残高は拡大したが、債務者の信用水準が一定基準を満たさない者に集中しているという本質的な特質から、返済の遅延?不能、および波及的効果としての信用の収縮など、以下のような問題点が表面化している。

1.  ^ ふぁいこ、個人の信用格付け専門会社である、Fair Isac Co.の略称。

2.  ^ FICO Scoreともいう。

編集] 米国における抵当危機

編集] 背景

サブプライムローンに限らず、アメリカにおいて、住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加していた。

本質的には債務不履行のリスクは通常の住宅ローンよりも高い構造を有しているものであるが、住宅の価格が上昇している場面においては、返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化しなかった。債務者の所得が上昇せず、生活費が上昇して本来であれば返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が上がっている場合には、債務者は住宅価格の値上がり分について、担保余力が拡大することから、その部分を担保に、新たな追加借入を受けることができた(ホームエクイティローン)。これにより破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大することもできた。

また、住宅価格が大きく上昇すれば、当該住宅を転売してローンを返済し、さらに売買差益も得ることも可能であった。当初負担の軽い返済方式の普及によって所得からすれば本来、住宅ローンを組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅ブームが拡大する間は破綻が表面化せず、むしろ住宅ブームを加速した。

編集] 過熱

このように当初の支払額を軽減した返済方式は、当初期間経過後、支払額が急増するというリスクがある。

以下は参考のため日本における住宅購入に、サブプライムローンを適用したと仮定して説明する。3千万円の住宅の購入に当たり、全額を無利子で借り入れたとすると、10年ローンでは月々の返済は25万になる。ここで最初の3年間は月々10万に抑えると残り7年は月々約30万強の返済額になる。現実的な契約では利息がつきもっと複雑になり、最初は返済金に占める利子の割合が大きく、ここで返済額を抑えると元金がほとんど減らない状況もありえる。

所得の確実な増加が見込めるならば、住宅価格の上昇を前提とせずにこのようなローンを組むのも合理的だと言えるが、所得が伸びない低所得階層には全く不向きである。ところが住宅ブームを背景とし、また、高利回りの債権の開発の要請や、証券化する債権の需要から顧客の開拓が進められ、米国へ移民して間もなくクレジットヒストリーの無い外国人や、クレジットヒストリーの瑕疵からプライムローンの対象にならない顧客にも積極的に貸し付ける様になり、更には住宅価格の上昇を前提として低所得階層にまで半ば強引な貸付が行われ、サブプライムローンが拡大していった。低所得者層に十分な説明が行われないまま契約を行ったり、複雑な説明をして契約を行った例がある。中には当然プライムローンの対象となる優良な顧客に対してサブプライムローンを貸し付け、より高い利息の収益を図った例もある。

一方で、利息が低い期間の間に住宅価格が充分に上昇すれば、支払った利息を超える差額を手にして転売することが出来るし、支払いを着実に行えばクレジットヒストリーの蓄積とみなされて、より利率の低いプライムローンへの借り換えも考えられる。

しかし、サブプライムローンの行き過ぎは1990年代後半頃から問題視されるようになり、同時に住宅バブルが指摘されるようになる。このような行き過ぎの中で、低所得階層に過重な手数料を求めたり、あるいは低所得階層の顧客が結局返済できずに物件を差し押さえられ住宅を失ったりといった問題が生み出された。この問題は略奪的貸付(predatory lending)として知られる。かつてアメリカでは、貧しい黒人居住地域を金融機関が融資上差別したことが、レッドライニングと呼ばれる社会問題を生み出したが、住宅ブームの中で、むしろ貸し過ぎが問題にされるようになった。なお、この略奪的貸付については、低所得階層が貸し込み先になっているという点で、日本における消費者金融多重債務問題や、バブル経済下での目先の収益獲得に追われた金融機関による、中小?零細企業からの貸し剥がしと性格が似ているという指摘がある。

もともとアメリカの住宅ローンでは、融資する側では金融機関による融資とローン債権の流動化がローンの拡大を支えていたが、流動化がこのような信用力の劣るサブプライムローンにまで及んできたことが、サブプライムローンの拡大を下支えした。

編集] 延滞の増加?信用の収縮

しかし、住宅価格上昇率が2006年に入って以降急速に鈍化すると、予測されたことだが、サブプライムローンの延滞率が目立って上昇を始めた。2006年末に住宅ローン全体の約13%を占めるサブプライムローンにおいて利払いが3か月以上滞る延滞率が13%を超えた。担保住宅処分後により8割は回収できるとされるが、その想定が甘いとの指摘もある(日本経済新聞2007年3月19日による)。 (サブプライムローンを借りて、差し押さえになった世帯の10~20%は、頭金がなしで、利子を一度も払ったことがないとのこと。差し押さえまで最短でも1年かかるために、一年間はただで住んだことになる。[不動産経済ファンドレビュー2008/04/05参照])

債務者の延滞が顕著となってくると、次は、サブプライムローンの貸し手である融資専門会社に対する融資に金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破綻する例が出始めた。大手金融機関では貸倒引当金を増やさざるを得ず、利益を圧迫する結果になっている。

2007年3月13日に大手のニュー?センチュリー?ファイナンシャルが、経営破綻が懸念されるとしてNYSEでの取引が停止され、上場廃止が決まった。3月20日までに連邦倒産法第11章に基づく資産保全を申請した会社は4社、業務停止は20社以上となった。その後、ニュー?センチュリーは4月2日に連邦倒産法第11章の適用を申請した。

サブプライムローンは貸付債権として証券化?分割され、複数の金融商品に構成要素の一つとして組み入れられた。そもそも金融商品には本質的に高い利回りを求められる。サブプライムローンは高率の返済利息に裏づけられた高利率を期待できる貸付債権であった。一方で、本質的に高いリスクを内包するサブプライムローンを分割し、他の安全な証券と組み合わせて金融商品を構成することで、リスクを制御?抑制することが出来ると考えられた。

金融商品については、必ずしも構成要素にサブプライムローンが含まれていることを明示していないものがあった。また、サブプライムローンを組み入れているものであっても、大数の法則?担保の提供によりリスクが軽減されていると考えられたが、実際にサブプライムローンの延滞率が上昇してくると、必ずしも当初の目論見どおりにリスクがヘッジされているわけではなく、金融商品自体が想定された利回りを下回ったり、元本自体の返済が不能となったりする例が浮上してきている。

こうして、サブプライムローンの信用リスクの顕在化は、この債権を組み込んだ金融商品そのものの信用リスクに波及した。

2007年6月22日には、米大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンドが、サブプライムローンに関連した運用に失敗したことが明らかになり、問題は金融市場全体に拡大した。ファンドの中には、資金繰りが悪化して資金の引出を停止したり、解散を決めたりするものが相次いだ。ファンドは大手金融機関から多額の融資を受けており、問題の拡大が懸念された。ヘッジファンドは、高い利回りを求めて、住宅ローン担保証券の中でもリスクの高いエクイティ債や、エクイティ債を組み込んだ債務担保証券に好んで投資してきた。

7月10日には米格付け機関ムーディーズが、サブプライムローンを組み込んだ住宅ローン担保証券RMBSの大量格下げを発表した。この結果、投資家がリスクマネーの供給に慎重になるなど、心理的影響の波及も懸念されている。さらに、この格下げタイミングが後手に回ったとして、格付け機関自体の信用度を疑問視する意見も出ている。

また、サブプライムローンに関する問題は、いわゆる優良な顧客としての、通常の債務者を対象とする住宅ローンなどの貸付に関する貸付の縮小の動きにも繋がっていることから、限定された債務者に対する貸付の問題のみならず、より広く融資?信用供与のシステム全体における動揺をもたらしかねないとする懸念が起こっている。

編集] 個人向け貸し付けへの影響

住宅ローンの返済遅延等の増加や、住宅価格の低下により、クレジットカードの利用増加及び、貸し倒れが増加している。詳細はクレジットカード#2007年のサブプライム問題の影響を参照。

また、高金利のペイディローンに手を出す人が増えている。

編集] 金融政策的対応

サブプライムローンに関する信用への問題が顕在化するにつれて、それを要因に含んだものとされる各国の株式市場の株価の下落や、為替におけるドル安の動きなどが見られた。アメリカ合衆国の政府はじめ金融当局は、サブプライムローン問題の直接の金融システムないしは信用システムに対する危機的悪影響を否定しているが、アメリカ連邦準備制度理事会や各国の中央銀行は、市場に対する資金の供給量を増すなど、本問題を契機とする信用問題に対して一定の対策を取りはじめている。

8月、事態を重く見たジョージ?W?ブッシュ大統領はサブプライム問題の被害者への救済に乗りだすことを表明した。

編集] 資本市場への影響?及び問題の本質

サブプライム問題の背景として論じられる幾つかの要素は、必ずしも本現象の直接的な要因とは言えないものもある。例えば変動金利型ローンは、銀行等の住宅ローン債権者にとって元来管理が難しかった金利変動リスクを?デュレーション(債権キャッシュフローの平均回収期間)の短期化を通じてより効率的に管理する有効なツールであり、サブプライムビジネス固有の金融商品ではない。また、サブプライム層に対する融資も、(強制的な貸付け等、一部に指摘されている様な倫理的に問題のあるケースを除き)借り手の信用力がローン金利の高低等によって適切に調整?吸収されている限りは問題ない。問題となるのは、あくまで債権者側が従来見積もっていた様な債務不履行確率(及びそれに基づく貸付金利の設定)以上に実際の債務不履行事象が発生する等の場合であり、また、その様なアウトライヤーイベント(想定外の事象)の発生するリスクはサブプライムローンに限らず、より信用力の高い貸し手に対するローンビジネス、或いは金融以外の様々な経済取引においても同様に起こり得ることである。

ベアー?スターンズBNPパリバ等のヘッジファンドのニュースにしても、本質的には一部の金融機関が一部の金融取引でのアウトライヤーイベントの発生によって想定外の損失を被った、ということでしかない。ただし、2007年7月から同年8月にかけて、サブプライム問題を材料に世界中で株価の急落や信用市場の混乱、果てはFRBによる公定歩合の緊急引き下げといった事態にまで発展した最大の要因は、幾層もの証券化を通じて住宅ローン債権の本来のリスク特性が見えなくなっていた中で、市場参加者の多くがパニック的に極端なリスク回避行動に出たことにあると言える(2008年現在進行中の事象であり、解釈には注意が必要)。

なお、市場参加者の中にはサブプライム問題を材料にした、極端な円高や住宅担保証券の下落で大きく利益を上げた者も多い。Institutional InvestorのAlpha誌の調査によると、2007年のヘッジファンド業界の報酬トップはPaulson & Co.の創業者、ジョン?ポールソンの37億ドル(約3800億円)だった。ポールソンのヘッジファンドは住宅担保証券の下落で大きな利益を上げた。興味深いことに、ポールソンは元ベアー?スターンズのマネジングディレクターである。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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